9月29日(土)は雨のため練習は中止。

先週、先々週は無理やり練習をしましたが、今週はさすがにできそうもないのであきらめました。

これで5週連続で土曜日は雨・・・いや~まいったなぁ

 

さて、先週の練習で藤原コーチからスローイングの基本形についての質問がありました。藤原コーチには簡潔に回答したんですが、せっかくなんで、説明しておきます。

まず、スローイングとは何のための動作なのか、その考え方で全ては違ってきます。

例えば、内野手なら「体の正面で捕球して勢いのある球をファーストにコントロール良く送球する」というのが昔の指導です。要するに「綺麗な送球」がスローイングの基本になっています。しかし、これは野手がいかに綺麗に守備をするかに重きが置かれています。

私が指導するスローイングの基本は「一番アウトにする確率の高い送球」なのです。「アウトにする」ことを基本にした場合、昔のスローイングの基本ではつじつまが合わなくなってきます。

私が良く出す例ですが、三遊間の打球をショートが捕球してアウトにする場合、一歩三遊間に踏み込んで体の正面で捕球し、3歩ステップしてスローイングしたならば「綺麗な守備」には見えるかもしれませんが内野安打になる確率は高くなり、一歩踏み込まず逆シングルで捕球してから三遊間寄りに一歩踏み込んでノーステップでスローイングすれば「雑な守備」に見えますがアウトにできる確率は上がります。アウトにできる確率が上がるということは、雑な守備に見える送球の方がボールは早くファーストへ到達するということなのです。

このプレーは「いかにアウトをとるか」に重きを置いたものです。

 

ですから「基本のスローイング」というのは打球の強さや方向、野手のポジショニングや捕球姿勢によって様々な形が存在するわけです。スローイングの基本を指導するためには、その様々な形の一つ一つを丁寧に指導する必要があります。「送球は全て基本は同じ」と言えれば簡単なんですが、1試合の中で同じ形でスローイングする場面は実際にはありません。

何パターンかあるスローイングを応用してアウトをとる訳ですが、何パターンもある基本を丁寧に指導し、選手たちが瞬時に考えて応用できるようにするのが一番の近道でしょう。

 

誰もが「当たり前」だと思っているプレーを「アウトにする」ことを基本に分析してみるとこうなります。

強めのピッチャーゴロ。投手が捕球した後、全力でファーストに送球した場合、ファーストが捕球できない確率が上がるため、投手はファーストが問題なく捕球できる速度で送球しアウトにする確率を上げる。

ボテボテのサードゴロ。深めのポジショニングで守っていたサードが前へダッシュして、そのままグラブで捕球し、しっかりステップして送球していては内野安打になる確率が高いため、打球を素手でつかみ態勢が不安定な状態でノーステップで送球を試みアウトにする確率を少しでも上げる。

ま、こういうことです。

これを野手の判断で全てのポジションの全てのプレーで応用できるようになる指導を行うのが指導者の役目なのだろうと思うわけです。

そういった指導をせずに、試合中のプレーを見て「なんでもうちょっと考えられへんのや!」と選手を叱る指導者は、ひょっとしたら自分の会社で同じことを上司から言われているのかもしれませんね。残念ながら、会社も社員も伸びるとは思えませんが。

 

選手が将来野球を続ければ続けるほど「野手はいかに綺麗に守備をするか」と言う考え方が野球観の中心にある選手と、「野手はいかにアウトをとるか」という考え方が野球観の中心にある選手とでは、選手としての伸び方が全く違ってくると思っています。もちろん「いかにアウトをとるか」という野球観が中心にある選手の方が、使える選手になることは明らかだと思うのです。

バッティングで言うと練習では打てるのに試合では打てない打者は「いかに綺麗に打つか」に重きを置いている傾向があり、ピッチングではブルペンでは良い球を投げるのにマウンドに上がった途端に打たれる投手は「いかに綺麗な球を投げるか」に重きを置いている傾向があります。

相手のことが野球観から消えているのです。これでは良い成績は残せません。

相手とどう対峙するかが、野球において一番重要な考え方なのです。

 

少年野球で、ここまで踏み込んだ指導をしているチームは少ないだろうと思います。

ノックの時間を増やしたり、試合を積み重ねることで、選手たちはなんとなくアウトにすることや試合に勝つことを覚えていきます。しかし、TKドラゴンズのように週3間という少ない練習量、年間25試合~30試合という少ない試合数で強豪チームと互角に戦えるチームにするためには、一歩も二歩も踏み込んで、野球の本質を指導する必要があるのです。