叱らないから上達する!ひとり一人が輝く少年野球チーム!

「会長のひとり言15」~メンタルについての仮説~

スポーツにおいて「メンタルが強い」「メンタルが弱い」という言葉をよく使う。
近年では一流のアスリート達は、メンタルトレーナーによるメンタルトレーニングを受けるのが当たり前の時代になった。

野球でも「メンタル」という言葉はよく使う。
野球は団体スポーツの中でも「メンタルなスポーツ」と呼ばれる。
気持の浮き沈みがプレーに影響を及ぼしやすいのだ。

なぜ野球はメンタルなスポーツなのかはまたの機会にお話しする。
様々な理由があるので面白いのだが、今回は「緊張するのはメンタルが弱いわけではない」というお話をしてみたい。


気持の強い選手が活躍して、気持ちの弱い選手が緊張してミスをするようなイメージをお持ちの方が多いのだが、果たして本当なのだろうか?
私は気持ちの強い弱い、すなわちメンタルの強い弱いはほとんどの場合プレーに影響しないと考えている。
メンタルが強い弱いではなく、負けず嫌いなのかそうでないのかが結果として大きく影響すると感じているのだ。

TKドラゴンズとしては、チームの一人一人が輝くというコンセプトで野球を指導している。
野球の本質は個人プレーである。個々の能力が試合を左右するのだ。
個々の能力が高まればおのずと輝く。

誤解のないように言っておくが、少年野球であるからこそ個々だけが重要なことではない。
思いやりや友情をはぐくむチームでなければならないと思っている。
しつこいようだがこの仮説では、メンタルの強い弱いがプレーに影響するのか否かだけにフォーカスして話を進める。


負けず嫌いの選手は相手チームに負けることよりもまず自分のチームの中で負けることが嫌なのだ。
チームの中でトップになろうと必死になって練習する。
もちろん練習の質や量によっても違いは出る。
質の高い練習を納得するまで行うとどうなるだろう?
確実に上手くなる。
これはもはやチームのための練習ではなく、自分が上に立つための練習なのだ。

一般的な考え方として、野球ではチームワークが必要とされている。
連係プレーやベンチでの雰囲気を考えると否定はできない。
しかし、夢を壊すようで申し訳ないが、個々の選手の技量が圧倒的に高ければチームワークの完璧なチームにも簡単に勝てる。

思いやりや友情がチームに勝利をもたらすこともあろうかと思うが、現実は違う。
高校、大学、社会人、プロ・・・上に進めば進むほど仲良し野球は存在しない。チーム内での競争に勝たなければ出場機会は与えてもらえない。
勝ってベンチが盛り上がっている光景をよく見るが、彼らは多くのチームメイトを蹴落としてフィールドで勝つ喜びを与えられているのだ。
レギュラー選手とベンチ入りギリギリの選手とでは喜び方が違う。当たり前なのだ。
レギュラー選手以外は喜んでいる場合ではないということを痛いほど知っている。

自分がチームのトップ選手として成立するために納得するまで練習をしていると、試合で緊張することはまずない。
どういう思考回路になっているかと言うと・・・「もっと難しい打球が飛んで来い」とか「チャンスで回ってこい」とか「打てるものなら打ってみろ」などということを考えている。
なぜなら、自分が優れていることをアピールしたいからなのである。

負けず嫌いの真逆な考え方は、チームに迷惑がかからないようにちゃんとプレーができれば良いと思って練習をしている選手である。
この思考回路を持っている選手が一番緊張するタイプである。

一見、真面目で控えめな考えであるように見えるが、この思考の落とし穴は「ミスできない」という縛りを自分で作ってしまっているという点なのだ。
野球は失敗のスポーツである。
10回打席に立てば7回は凡退する。
打球を捕りに行けばエラーも出る。
投手は10回に3回は打たれるのだ。

これだけ失敗するスポーツなのに「ミスできない」となったらえらいことになる。
ミスできないと思うから動けなくなるのだ。
エラーをする可能性があるので打球を捕りに行くのが怖くなる、凡退する可能性があるのでスイングするのが怖くなる、打たれる可能性があるので投球するのが怖くなる・・・

一方、負けず嫌いはミスすることなどあまり考えていない。
とにかく誰にもできないプレーをすれば、少々のミスなどどうでもいいと思っている。

これをメンタルと言うのならメンタルなのだろうが、誰のために何のために練習しているかで緊張するかしないかがすでに決まっている。

私はメンタルトレーニングを受けたことが無いのであくまでも予想でしかないが、メンタルトレーナーは「自分の凄さを見せてやる」という気持ちで選手を試合に臨ませるのではないだろうか。
ただそれも、死ぬ気で練習してきたアスリートにのみ有効なのであって、何にも練習していない選手に興奮だけさせてもそれ以上の結果など出るわけはないのだが。


もしも、TKドラゴンズの選手の中に「自分はメンタルが弱いから緊張するんだ」と思っている選手がいるのなら、自分がトップ選手になることを目標に練習することを勧める。多少のミスは目をつむってもらえる優れた選手になれば、絶対緊張しない。


私も多くの試合に出場し、緊張した時期もあるし緊張しなかった時期もある。
緊張していない時期は、周りから自分の力が高く評価されている時期と重なる。
いろいろな経験を通して、私は緊張とメンタルは違うものだと感じている。
簡単に言えば、自信があるかないかということになる。
どうすれば自信をつけることにつながるのか・・・結局練習なのだ。


これは私個人のメンタルについての仮説であるが、みなさんどう思われただろう。
今後もメンタルの正体をいろいろな角度で考えてみたいと思っている。
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