叱らないから上達する!ひとり一人が輝く少年野球チーム!

「TK memories 1」~きっかけ~

息子が小学校三年生の夏のことである。
私は地元の少年野球チームのコーチをしていた。
合宿を行っており二日目の朝の事だ。


「子どもらには黙って集合時間になったらグラウンドに出てきてや。集合時間に出てこれなかったらランニングや。」
と朝食前にあるおっさんが言った。
今までずっと時間前に何も言わなくても集合するように指導しているなら分かる。
或いは合宿の初めに「何も言わないから自分たちで時間を確認して決まった時間に集合するように」と言っていたのなら分かる。
それまで指導者が「集合時間や!早よ準備しろ!」とことあるごとに言っておいて本当に自分たちで集合できるとでも思っているのだろうか。


私は、こういうトラップを仕掛ける人間が我慢ならない。
集合時間を頭に入れて行動させていないのは指導者なのに、ランニングさせる為か叱る理由を作る為か知らないが集まれないのを知っていながらこういうことをする。
案の定、子どもたちは集合時間に間に合わない。
「なんで自分らでできひんのや!」
おっさんが子どもたちに怒っている。
私はおっさんの言葉を聞きながら「俺はそんなことも指導できひん男や。」の間違いちゃうかと思った。

息子が小学校四年生の春のことである。
私はジュニアチームの監督になっていた。
練習試合であった。Aチームのコーチに三塁審をしてもらっていたのだが、このおっさんが野球を知らんのだ。
三塁審であるにもかかわらず、うちのチームが守っていればかまわず指示を出すし、ランナーに出ても指示を出している。
「ちょっと黙っててください!」
と制すると、
「練習試合なんやからええんや!」
と言う。
審判が口を出してもいいのはジャッジと攻守交替を速やかに行うために選手に「走ろう!」という掛け声だけだ。
練習試合だから審判が指導して良いって誰が決めたんだ?
このおっさんだけのルールなのか?
審判は中立なのを知らないのか?
相手の選手は「あの塁審はあっちのチームの味方だ」と思って苦笑いしてるぞ。
だいたいジュニアチームの選手に指導しているのは私だ。練習の成果を見ようとしているのに何を横から言い出すんだ。
カッコ悪!と思いながら試合をした。
それだけならまだしも、そのあとで上のおっさんに「塁審は口を出すなと田中さんに言われた」と行ったらしく、上のおっさんから「練習試合やしええやろ」と言われた。
あかん、こいつら野球を全然知らん。
このおっさんたちは練習試合の「練習」という言葉をはき違えている。
練習試合の「練習」とは、「練習しながら試合をする」のではなく「本気の試合の練習をする」の「練習」なのである。
試合の練習をしないといけないのに、指導しながら試合するて・・・
どんな野球なんや。
「ほな、いつ本気の試合の練習をするんですか?」
と二人のおっさんに聞くとムッとしていた。


息子が小学校四年生の夏のことである。
全京の夏の大会一回戦だった。
私は人手不足の為Aチームのベンチに入っていた。
試合中、おっさんたちは「ファーストや!」「バックホームや!」「セカンドや!」「止まれ!」「投げるな!」と大騒ぎだ。
「お前らが野球してるんか?忙しいこっちゃ。これでベンチワークなんかできるわけないわなぁ。」
と私は呆れていた。
試合は大敗。そらそやろ・・・
そのあとのミーティングで「何にも指示出さんと、やる気あるんか?」とおっさんたちに言われて切れた。
「プレー中にベンチから指示出しまくって勝ったチームを見たことあるんか!あんたらほんまに野球知ってんのか?誰に教えてもうたんやこんな野球?」
と言ってしまったから、おっさんたちと私は大喧嘩になった。


そのあと三か月の準備期間を経て、私はTKドラゴンズを創設した。


今はそのおっさんたちは指導していないらしいが、何度も何度も「それは野球と違う」と言ってもおっさんたちは聞き入れなかった。
私も若かったのだろうが。
もしもあのおっさんたちが野球を知っていたならTKドラゴンズというチームはこの世に存在していない。
なんというか・・・・・おおきに。今ではお金で買えないものをたくさん持たせてもらっています。
私も「おっさん野球知らんのか!」と言われないように、野球の知識は日々更新していきたいと常に思っています。
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