叱らないから上達する!ひとり一人が輝く少年野球チーム!

妄想トレーニング

いや〜困っちゃいましたねぇ・・・
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、先週の練習は中止になりました。
MGから連絡が行くと思いますが、今週もグラウンドを開放しての自由参加の自主練習です。
団員達は暇を持て余すし、保護者の皆さんはご夫婦で意見が分かれるでしょうし、私たちスタッフも、非常に難しい判断となりました。

ただ、嘆いていても仕方ないので、こういう時に何ができるのかを考えることにしましょう。

自主練習で一番大切なことは「自分でやる」ということなんです。
え?当たり前ですって(笑)
いや、これが当たり前ではないんですよね。
宿題ではなく、自由勉強なんです。
課題を与えられるのと、自分で課題を見つけて探求するという違いがあります。

例えば、私が自主練習でやっておくべき練習内容をここに書いたとします。
保護者の皆さんが「こう書いてあるから、この通りちゃんとしなさい」と言ってしまうと宿題になってしまいます。
まぁ何もしないよりはましなんですが、やらされると身に付きにくいんですよね。
素振りなどの仕方については、メジャーチームの選手に指導していますので、それぞれに任せておこうと思います。

今回のブログでは、自由課題について書いてみようと思います。
ちょっと長いですが、時間が有り余っている選手達には丁度いいかもしれません。

昔のことになりますが、私が高校生の時の話です。
当時の監督は、現役時代はショートを守られていて守備に関しては技術もすごいし、知識量も半端ないものでした。ただ、バッティングはあまり得意な方ではなかったようでして、ほとんど指導らしきことはしていただいてないんです。
私が高校2年生の夏、新チームになってしばらく私の打順は6番でした。
しかし、私どうしても3番が打ちたかったんです。
で、「どうすれば3番を打てるんだ」と自分で考えるわけですよ。

チャンスでヒットを打てるようになれば3番か?
ライナーで外野の間を抜ける打球を打てるようになれば3番か?
三遊間の内野安打を打てるようになれば3番か?
なんとなく当時の3番打者のイメージですわなぁ。

でも、ひたすら素振りをするだけで3番打者になれるんでしょうか。何か足らないような気がしましたし、黙々と素振りをするってつまらないんですよね。
そういうわけで、イメージを膨らませて自分が最高の場面で最高のバッティングをする妄想をしながら素振りをするようになったんです(笑)
例えばこんな具合です。
「9回裏1点差で負けている。2アウト2塁3塁、バッター3番俺。バッテリーは4番とは勝負したくないから俺で勝負。一打逆転サヨナラ。3番俺に対してバッテリーはアウトコース中心に投げてくる。インコースが来るとしたら見せ球のボール。これに手を出せばファウルにしかならない。狙い球をアウトコースに絞る。初球アウトコースギリギリの厳しいストライクを見送り、2球目インコースのボールを見極めたあとの3球目。初球よりやや甘めに入ってきた・・・という設定で、アウトコースを逆らわずに左方向へジャストミート。ショートの頭上を糸を引くようなライナーが超えて行く。逆転サヨナラ!」
このイメージと自分のバットの振りが一致するまで、同じ場面を繰り返しイメージして振っていました。
いろんな場面、いろんな球種をイメージして、頭の中でイメージ通りの打球が打てるまで振りました。
もちろん、ピッチャーが投げる姿までイメージします。調子が乗ってくれば応援団やベンチが歓喜している場面もイメージします。
この素振りは100本が限界です。100本振れば、頭がクタクタになるんです。
ですから私の素振りは、アップで25本、イメージ100本、クールダウンで25本の合計150本程度でした。

この素振りの成果が出だしたのが高校二年生の秋の京都の二次戦でした。
気付くと、バッテリーの配球がある程度読めるようになっていましたし、チャンスに強くなっていました。
こちらがチャンスということは、相手はピンチということで、バッテリーは絶対に打たせたくないわけですよ。実はこういう時の方が配球は読みやすくなります。
間違ってもインコースにはストライクを投げてきませんし、インコースに来たとしてもボール気味のカーブやスライダーです。相手がピンチの場面では、かなりの確立で初球と勝負球の2球はアウトコースのストレートを投げてきます。少しでも甘く入ってきた方を迷わずスイングするだけです。
私は二次戦で結果を出し、ついに近畿大会出場がかかる準決勝で3番という打順を手にします。初めて3番を打たせてもらったこの試合で4打数4安打しチャンスを掴みました。それ以降、近畿大会決勝戦までヒットを重ね、甲子園、三年生最後の夏の大会が終わるまで、3番という打順は誰にも渡しませんでした。

3番打者になってからも妄想トレーニング(笑)は続きました。
こんなこともありました。
合宿中、夜みんなで素振りをするんですが、周りに家が無いので騒音の心配がなかったんですね。ですから、私、打った後バットをいかに美しく投げるかという練習をしておりました(笑)一人だけ「ブンッ!カラコロカラ〜ン」という音をまき散らしながら。
その甲斐あって、甲子園では、打った後バットが見事に中を舞うという妄想通りの写真を撮っていただきました。

まぁ今で言うとイメージトレーニングです。その当時はそんな言葉はあまり聞かなかったですが。

これは、守備でも同じことが言えます。
ボールなしで打球をイメージして捕球、送球の動きをします。どんな場面なのかも想像します。
例えばですねぇ・・・
俺はサードを守っている。最終回1点差2アウト満塁。打者は4番の右打者。この試合2本の痛烈なヒットをレフト方向へ放っている。バッテリーはアウトコース中心の配球をする。しかし、アウトコースを強引に引っ張る確率が高い。痛烈な当たりがサードの右に飛ぶ・・・という設定で、左足をライン際へ一歩踏み出し逆シングルでキャッチ!ファースト送球。試合終了!
こんな感じでいろんな場面、いろんな打球をポジション別に想像することができます。周りで見ている人は驚きますが(笑)気にしない。
妄想でアウトにすることができれば、実際のプレーでも意外とそれに近い動きができますし、ピンチの場面でも体は動いてくれるはずです。

私も実際にいろんな打球を想像しながら守っていました。
私のポジションはファーストでした。この妄想でハーフバウンドを捕る確率が上がりました。それまでは勘でグラブを出したり、体に当てて止めたりとアウトにできる確率は低かったんです。でもハーフバウンドを捕るとすごく上手く見えるんですよねぇ。なんとか捕れないもんかと妄想したわけです(笑)
私「ハーフバウンドを勘で捕るな!よく見たら見えるから!」と選手達によく言うんですよ。
妄想でハーフバウンドを見ようとすると、意外なことに気が付きました(この詳細は伏せておきます)。で、実際にやってみました。ハーフバウンドをよく見たら見えたんです。見えると捕れます。

以上のような妄想トレーニング以外でも、いろいろアイデアはあると思います。これが絶対良いわけではありません。
自分で課題をあみだすこと、それが大切なので。
例に出したのは、私が高校生の時の話ですので、知識や配球など小学生のレベルというか自分が意識できる範囲でやってもらったらいいんです。

で、大事なのは、このブログを読んだあとお子さんに「イメージトレーニングをしなさい!」とは絶対に言わないでほしいんです。
文章を音読してあげるだけで、あるいはお子さんに黙読させるだけで、あとはお子さんに任せてほしいのです。
「なぜか」については次回のブログでお話ししたいと思います。