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「会長のひとり言13」~TKスペシャルの正体~

先日の試合で何年かぶりにTKスペシャルを使いサヨナラ勝ちをした。
「TKスペシャル」というのは、作戦の名前である。
「TKスペシャル」というネーミングはいかにも必殺技みたいな響きで、子どもっぽいところがかなり気に入っている。

簡単に言うとノーアウトかワンアウトでランナーが3塁の状況でのヒットエンドランなのだ。
(ヒットエンドランとはランナーが走りバッターが打つこと)
細かく言うと数パターンの「TKスペシャル」があるのだが、あまり詳しく言ってしまうと今後使いづらくなるので、上記の状況に限って話を進める。

この作戦は大きなリスクを伴うが、決まった時の破壊力は凄まじい。
ギャンブルには違いないが、状況によっては高確率で得点が期待できるのだ。

実はこの「TKスペシャル」にはTKドラゴンズの野球に対する考え方が凝縮している。
私の野球観そのものなのだ。

ランナー3塁の状況で何か作戦があるとしたらスクイズである。
スクイズは3塁ランナーが走ってのバント。
TKスペシャルは3塁ランナーが走ってのヒッティング。
バントかヒッティングの違いである。

私は常に言っているように、送りバントは嫌いである。
なぜ嫌いかを説明すると長くなるのでやめておくが、まぁそういう好き嫌いも関係はしているだろう。

バントとヒッティングの違いだが、まず送りバントとスクイズは違う。
送りバントはバントしてからランナーが次の塁に進塁するが、スクイズはランナーが走っているため必ずバットに当てる必要がある。
空振りすればランナーはキャッチャーにタッチされてアウトだ。
スクイズの打球がフライやライナーになるとダブルプレーになる。
ファウルになれば警戒されて続けざまにスクイズのサインは出しにくい。

TKスペシャルはバントではなくヒッティングである。
バントするか打つかの違いだけで、リスクはスクイズと同じである。

スクイズとエンドランのリスクは同じだが・・・まぁ細かいことを言うとエンドランではフライの確率が増えるし空振りの確率も増えそうだが、少年野球で成功する確率はエンドランの方が高いと私は感じるのだ。
実際に統計を取ったことはないが、打った方が前に転がる確率は高いと思っている。

もちろん理由がある。

少年野球では投手が変化球を投げるのは禁止されている。
ストレートしか投げて来ないのだ。
多少ナチュラルに変化する球は来るが、落ちたりブレーキが掛かったりはしない。
精度の高い変化球を投げられてしまうと空振りのリスクが高くなり、高校野球以上では使えない戦略ではある。

子どもたちは素振りやバッティングセンターやチームの打撃練習で圧倒的にバットを振る練習量の方が多いのだから、素直に打った方が良い結果が出ると思うのだ。
子どもたちが大人になった時、スクイズで点を取った記憶よりも、自ら打って点を取った記憶の方が鮮明に残ると思ったりもする。
プレーする方も見ている方も、打って点を取る方が面白い。

もう一つ理由がある。

これが私の根本的な野球観である。
先日は最終回同点の場面でのTKスペシャルだったが、これが1点負けている場合を考えてほしい。
スクイズを決めて相手にワンアウトを与えてひとまず同点に追いつくのか、打てばヒットになる可能性が生まれるエンドランで同点に追いついて尚も逆転のチャンスを作るのか、という選択なのだ。

私は勝ちに行く。
ひとまず同点とは思わない。
もしも、私が高校や大学や社会人やプロ野球の監督だったとしても単純なスクイズは使わないだろうと思う。
近年ではセーフティスクイズが用いられるケースが多いがそういうことでもない。

チャンスはそんなに都合よく巡ってこないのだ。
再びチャンスが巡って来る可能性もあるが、同時に相手にも巡って来る可能性が出てくる。
私は終盤にチャンスが巡ってくれば「ここが勝負」と考える。

実際に試合をしている選手からしても、一気に逆転を狙う戦略とひとまず追いつく戦略とではモチベーションが違ってくる。
「勝って終われる」と「追いついてもう一度勝負」では力の出し切り具合が違うのだ。

野球はスポーツだが、基本は二つのチームの戦いである。
勝負には勝たなければならない。
勝つために練習しているのだし、勝つために指導しているのだ。
結果的に引き分けになったとしても、負けたとしても、勝ちに行く姿勢がチームを強くするし、勝とうという意識が高くなると思うのだ。

攻撃は最大の防御である。
攻撃はもちろんだが、守備にも守りの守備と攻めの守備がある。私は攻めの守備を指導している。

私の野球観は「いかに攻めれば相手に恐怖心を与えられるか」という考えでできている。
この考えが「TKスペシャル」の正体なのである。

打撃理論や守備理論は最新の理論を取り入れるのだが、不思議と野球観だけは変わらない。

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